気づきの瞑想とは

◎気づきの瞑想がいま世界で注目されています

気づきの瞑想とは、仏教の教えに基づく瞑想法で、タ イやスリランカやミャンマーやベトナムなどに伝わり、日本でも近年になって注目を集めています。アメリカではジョン・カバット・ジン氏が「マインドフルネ ス療法」として臨床心理の観点から瞑想法を取り入れて活用されています。

 

◎ハッと我に返れるようになる瞑想です

頭 で考えたり想像したりすることではなく、ただ今ここにある心や体の状態を観察することで、苦しみがどうやって生まれるかがわかり、様々な苦しみから離れる ことができます。その過程で、過去や未来のことで悩んだり怒ったりしている状態から、ハッと今に返ってくる力を養っていきます。

 

◎手を動かしたり歩きながら行います

この瞑想法の特徴は、日常のなかで行えることです。そのために、まずは手の動きを観察したり、歩いている足を観察しながら、「気づき」の感覚を養っていきます。

 

◎目を開けて行うこともあります

 特徴として、目を開けて瞑想を行います。それによって、日常生活のなかでの苦しみに対して、よりバランスの取れた対処ができるようになっていきます。

 

カンポンさんとカムキエン氏
カンポンさんとカムキエン氏

「カムキエン師は、疑問を問い詰めることよりも、気づきを確立することに努めよ、と説かれています。師は、教科書をただ引用して示すのではなく、実践する師の後ろ姿で示しています。その姿勢に私はとても惹かれました。(カンポンさんの本より)」

カムキエン氏が悩めるカンポンさんへ送った手紙

 

 私はあなたの善き仲間になれることをとても嬉しく思います。

 

 修行に関して誤った方向に陥らないように導くお手伝いをいたしましょう。自分自身を見つめ、感じていく瞑想のやり方をお勧めします。たとえ体が不自由で横になっていたとしても修行は可能です。

 

 手のひらを動かしてひっくり返すときの感覚を感じて御覧なさい。知らず知らずに考え事が起こってきますが、その考えに惑わされず、体に戻るように。体がここにあることを意識して、よく注意して観るようにしましょう。これを「パーワナー(サンスクリット語で心の成長、修養、智慧の開発のこと)」と呼びます。

 

 パーワナーとは、気づくことに努めることで、静けさを求めるものではありません。それによって自分自身に気づくことがよくできるようになれば、迷いが少なくなり、真理が明らかになっていくでしょう。

 

 私たちは、体と心の真実を観ることができるようになるでしょう。そのものとなるのではなく、観るものとなる。体や心に何が起ころうとも明確にそれを知る者になりましょう。

 

 ときに幸せが起こってもそれを追う人とならず、幸せをただ感じる人となる。苦しみが起こってきても、苦しんでしまう人とならずに苦しみを観る人になるようにしましょう。

 

 もし、飽きがきたり、息が詰まったり、腹が立ってくるような事態が起こったときでも、それに気づくことが大切です。それは心の状態なのですから。あなたがその状態そのものになる必要はありません。そうやって修行に励んで御覧なさい。

琉球大学 教育学研究科 臨床心理学専攻
伊藤義徳研究室
砂田 安秀

気づきの瞑想は心理学などの学問の世界では「マインドフルネス瞑想」と表現され,扱われています。マインドフルネスとは「今ここでの経験に評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けることで実現される気づき(ジョン・カバットジン)」と定義されます。ここ15年ほどの間にマインドフルネス瞑想は心理学や神経科学(脳科学)の分野を中心に多くの科学的な実証研究が行われ,さまざまな精神障害に対して高い効果を持つことで知られていますが,欧米では,すでに30年以上前から徐々に「マインドフルネス瞑想」と呼ばれる仏教瞑想に対して大きな社会的関心が高まっていました。そんな中,1979年当時にマサチューセッツ大学の医療センターにて,ジョン・カバットジン博士がマインドフルネス・ストレス低減プログラム(mindfulness-based stress reduction: MBSR)を開発し,今日の学問や科学の世界におけるマインドフルネスブームの火付け役となりました。MBSRは,様々な形のマインドフルネス瞑想からなる8週間のプログラムであり,精神的健康に対する効果が実証されています。実際に,医療現場におけるうつ病や不安障害を初めとした精神障害の治療を初めとして,教育,企業,スポーツとあらゆる分野に適用され,世界中に普及されています。昨年,ジョン・カバットジン博士が来日され(マインドフルネス・フォーラム 2012)多くの医療関係者が参加し,MBSRを学びました。また,このMBSRとうつ病の治療で有名な認知療法を組み合わせたマインドフルネス認知療法(mindfulness based cognitive therapy)という心理療法も1990年代に開発され,うつ病の再発に対する有効性が実証されています。また,マインドフルネスはMBSRMBCT以外の様々な心理療法においても中心的な要素として取り入れられ,ここ15年ほどにおける心理療法の領域でもっとも注目されている概念となっています。実際にマインドフルネス瞑想を用いたセラピーはここ4半世紀におけるもっとも人気のある心理療法の3位に選ばれています。このように,現在では仏教の瞑想法であるマインドフルネス瞑想が科学的な学問における研究対象になり,多くの心理療法に取り入れられ,大きな効果をあげているのです。

執筆 2013年9月7日

リンク

『気づきの瞑想で得た苦しまない生き方』
カンポンさんの本

日本で出版されているカンポンさんの唯一の本。翻訳をしている浦崎さんはカンポンさん来沖の発起人です。

プラユキ・ナラテボー
『苦しまなくて、いいんだよ。』

プラユキ・ナラテボー(坂本秀幸)氏、待望の2冊めの本です。仏教の深い教えを、これほどまでに具体例とわかりやすい表現で書いた本はないでしょう。オススメです。

藤川チンアワンソ清弘さんの本
藤川チンアワンソ清弘さんの本

ナラテボーさんの友達で、故藤川和尚の痛快出家道中記。さんざん悪行を重ねたあげく、タイ人に見栄を張って一時出家してそのままお坊さんになってしまった変わり者。日本に戻ってきてからはみんなから親しまれる「おもろい坊主」として活動されていた。